知多地域障害者生活支援センター らいふ

「遷延性意識障害Aさんの退院支援と地域生活」2回連載(第2回)

 新年明けましておめでとうございます。私の文章が長すぎて、相談支援事業の報告が年をまたいでしまいました。前号では、Aさんとの出会いから、退院支援の計画までをお話しました。お手数ですが、前号から続けて読んでいただければ幸いです。

3.ネットワークの構築
 MSWさんと話し合い、病院が退院への支援の主体であり、退院後の地域医療や訪問看護との橋渡しの役割を担っていただける事を確認した上で、障がい者総合支援センターの相談員は退院に向けた住宅設備についての案内・アドバイスや福祉サービスのコーディネートを行なうという役割分担を行ないました。
支援センターの役割については、退院後の福祉サービスのプランをご家族と共に考え、サービス利用の支援を行う事となります。
 MSWさんに退院に向けたケア会議の開催を要請し、平成20年11月に退院に向けた地域医療との連携と介護サービス、行政担当者を交えたサービス調整を行ないました。この時の参加者は、B大学病院から担当医・退院支援相談室看護師・病棟看護師・作業療法士(OT)・言語聴覚士(ST)・MSW等 7名。地域支援関係者は、H病院訪問看護St訪問看護師・訪問リハビリ(理学療法士)・訪問介護事業所(ホームヘルプ)2箇所・I市福祉課・総合支援センターの8名。合計15名による、病院から地域への情報と具体的支援のバトンタッチが行なわれました。このときに話し合われた、退院後のサービス計画を基にサービス利用計画を支援センターが作成し、退院に向けた準備を整え、12月16日からBさんはお母さんとの生活を始められました。  
 実際に退院に向けての支援の組み立ては、簡単ではありませんでした。Aさんを介護されるお母さんは67歳。Aさんがずっと家に居るという事は、休むことなく介護が続くという事です。これではお母さんの介護負担が大きすぎますから、何とかして休んでいただく必要があります。ところが、気管切開・胃瘻などの医療処置を受けているAさんを受け止めてくれる施設が無いのです。デイサービスは2箇所、ショートステイは1箇所、医療体制がないことを理由に断られました。B大学病院の担当医師に無理を言って、検査・リハビリを理由としたレスパイト入院をお願いし、J市の病院を紹介していただきました。さらに、新たな福祉施設の担当者にケア会議に参加した上での利用可否の判断をお願いしました。

4.ケア会議と役割分担
 退院されて一ヵ月後、生活が少し落ち着いてきた頃の平成21年1月中旬に退院後第一回のケア会議を行ないました。ケア会議の目的は、不足しているサービスについて改善策を考えて、補うための支援を行うことです。このようなケア会議はその後、おおよそ3カ月間隔で定期的に開催しています。
 ケア会議が地域支援の核であり、ネットワーク(連携)の核でもあります。訪問看護・訪問リハ・居宅介護事業所(ホームヘルプ)・市役所福祉課・支援センターに加えて障がい者施設の短期入所担当者が参加して話し合われた内容が、ネットワークの持つ意味をわかりやすく説明できると思います。
 退院後一ヶ月間は、医療中心の支援として訪問看護をキーパーソンとして支援を組み立ててきました。今後、支援体制を膨らませていくために、訪問看護が担当していた入浴方法を、1月中に医療ケアの出来ないホームヘルパーでも可能な方法に変えながら、訪問看護からホームヘルパーにレクチャーしていく事になりました。ホームヘルパーが可能なケアであれば、短期入所(ショートステイ)施設も対応可能となりますから、ホームヘルパーへのレクチャーと同じ内容を訪問看護から障がい者施設にマニュアル化して伝えていただくようお願いしました。障がい者施設のサービス利用が可能であれば、福祉施設の利用について市が認め、サービス利用の支給決定をする必要もあります。それら全体の情報を集中し、調整していくのが支援センターという事になります。これを図にするととても複雑に見えますが、ケア会議でお互いに顔の見える関係を作る事で、支援者同士が情報交換し協力していく事ができるのです。
 Aさんに相談員として関わらせていただいて、ちょうど一年になります。この間、健康を害される事もなく、退院された頃に観られた強い筋緊張もほとんど無くなりました。今では、ほとんど毎日、訪問看護師さんやリハビリの作業療法士さん、ホームヘルパーさんが来られ、週に一日は福祉施設に通われています。「毎日、やる事がいっぱいあって、ちょっと忙し過ぎじゃない?」と思うくらいです。充実した毎日は、関わる人を変え、ご本人を変えていきます。Aさんの喜怒哀楽、そして和やかな表情を見せていただくことで、今は私が支援者としてのパワーをもらっています。           

(くずま) 「知多の区暮らしを結ぶ」第76号 2010年1月発刊分より
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by aikouen | 2010-01-30 10:01 | ■相談支援事業
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