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知多地域障害者生活支援センター らいふ

相談支援事業の実践事例 :遷延性意識障害Aさんの退院支援と地域生活」2回連載(第1回)

 先の総選挙では民主党が圧勝し、政権交代が起こりました。民主党政権下でも地域生活支援に重点を置いた制度設計の大きな変更や相談支援事業が消える事は無いだろうと考えています。とはいっても、この原稿はまだ新たな内閣の顔ぶれも決まっていない時期に書いていますから、これからの福祉制度を語る事は占いか予言のレベルになってしまいます。と言うわけで、今回は相談支援事業の実践事例についてお伝えする事にしました。
 私は知的・身体の障がいをもたれた方の相談員として、東海市・知多市・阿久比町・東浦町にお住まいの当事者・ご家族の相談を承っています。身体障がいの方の相談の三分の二が事故や病気による後遺障がいの方です。誰にでも起こりうる障がいとして、事故から入院されて治療後に退院し、今はお母さんのお宅で生活されている、遷延(せんえん)性意識障害のAさんへの支援についてお伝えさせてください。

1.Aさんとの出会い
 長期入院されている身体障がいの女性の退院に向けて、住宅改造と介護支援についてのご相談ということで、Aさんのお母さんから電話を受けたのが、昨年の9月でした。早速、ご自宅を訪問しご家族にお話を伺いました。普通に社会生活・学生生活を送っておられる皆さんは「障がいを持つ」ということについて、身近に感じられる機会は少ないのでは無いでしょうか。ごく普通に幼稚園に勤められながら、ご主人と2人のお子様との暮らしを送られていたAさんも、まさか玄関先で転ばれた事が発端で、ご自分が障がいを持つことになるとは思われていなかったと思います。2年前、ご自宅のベランダで転ばれたAさんは左肘を強打されて骨折と共に腱も傷ついてしまったそうです。そのため整形外科病院で肘の手術を受けることとなりました。「入院は退屈だわ。さっさと手術に行ってくるね。」という言葉が、Aさんとお母さんが交わした最後の会話になってしまいました。
 お母さんは、2時間ほどの手術のはずが3時間4時間たっても終わらず、変だなと思っていたらとつぜん病院があわただしくなり、人工呼吸器をつけ痙攣を起こし意識の無いAさんと対面したそうです。そのままB大学病院へ救急搬送され、人工呼吸器の挿管のために、痙攣が続くAさんは安全のために前歯を4本も抜かれたそうです Aさんは意識を回復することなく、寝たきりとなり頻繁に痙攣を繰り返す状態となりました。「低酸素脳症による遷延性意識障害」という診断が、Aさんが障害をもたれた病名です。手を振って手術室に向かったAさんが4時間後には、寝たきりになっていました。
突然の悲惨な状況に家族としては、何も出来ない状態でした。B大学病院では昏睡状態
が続き、その後の2年に及ぶ入院生活は褥瘡との戦いだったそうです。この間にご主人はお子さんを育てるために、Aさんと別れて生活を始められました。Aさんの帰ることができる場所は、お母さんの家しかなくなっていました。
 お母さんが毎日病院に通い、献身的に介護される中で、徐々に回復してきているのがわかる様になってきました。植物状態で寝たきりから、這うように寝返りが出来るようになり、表情が出てきて音楽を聴くと笑顔で反応するようになりました。医師から、病院では刺激が少ないので、自宅生活をすることで回復が早まることが期待出来ると言われて希望をもたれ、お姉さんご夫婦が介護を手伝うつもりで同居すると言ってくださったので、在宅介護を決心されたそうです。

2.デマンド(要求)の確認からアセスメント、支援計画の作成
初回面談、足りなければ複数回の面談で先のような、ご本人にする情報とご本人やご家族の思いや希望を丁寧に聞き取ります。ここで相談員は、相談されるお一人お一人の人生のストーリーと向き合う事になります。その情報をフェイスシート、アセスメント表に落としこみます。そうする事で必要な情報の見落としを防ぎ、客観的な情報整理を行ないます。ごく簡単に、ケア会議等で必要な基本情報のみ記載しておきます。(表1)
その後何度かご自宅を訪問し、生活の場についての確認、福祉サービス等の利用についてのアドバイスを行い、退院後に続く介護についてご家族が受け止めていく決断をされている事を確認させていただきました。家族にとって終わりの見えない介護は、愛情だけでなく「覚悟」のようなものが必要なのです。
ご家族の要望から3ヵ月後に退院する事を目標として、まず病院の医療ケースワーカー(以下MSW)Gさんに連絡し相談内容と入院状況の確認を行い、退院に向けてのワーカー
さんの役割を確認しました。こういった形で、補足情報を専門機関や関係機関からいただきながら、ニーズの確定を行い支援計画を作成して行きます。
Aさんの場合、短期目標を3ヶ月後の退院、長期目標を半年後に置き、在宅生活と地域サービス利用の安定としました。
(くずま・次号へつづく)機関紙「知多の暮らしを結ぶ」75号2009年10月発刊分より
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by aikouen | 2009-12-16 15:20 | ■機関紙「知多の暮らしを結ぶ」
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